ビジュアル・アイデンティティーについて
菊地敦己
この美術館のシンボルマークは、とてもシンプルな水平に伸びる一本の線です。シンボルカラーは無く、光の発光や反射そのものをシンボルとしています。限定された色や形ではなく、時間や季節によって変化する自然の要素を取り入れることを意図したものです。これは、「ウォーターフォール」などの作品に見られる目映い光や「フラットウォーター」の静かにたたずむ水面から着想したものでもあります。そして、有機的なフォルムをもつ建築に対比し、その空間の特異性をより強調するための記号です。作品や空間と調和し、美術館体験の一要素として機能することを目指しデザインしました。
菊地敦己 略歴
アートディレクター。1974年東京生まれ。武蔵野美術大学彫刻科中退。2000年株式会社ブルーマーク設立、2011年解散。同年、株式会社菊地敦己事務所設立。主な仕事に、青森県立美術館のVI計画。横浜トリエンナーレ2008のVI計画。金沢21世紀美術館や丸亀市猪熊弦一郎現代美術館のポスター、カタログのデザイン。ファッションブランド「ミナペルホネン」、「サリースコット」のブランド計画。「ISSEY MIYAKE MEN」のシーズンビジュアル。雑誌『「旬」がまるごと』のアートディレクションなど。主な受賞に日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)新人賞、東京ADC賞、ニューヨークTDC賞、日本サインデザイン協会賞(SDA)奨励賞、日本パッケージデザイン大賞(JPDA)銀賞など。作品集に『PLAY』がある。東北芸術工科大学客員教授。