プロジェクションアート「四季」(2017年「千住博・秋冬展」)
元の地形を生かして緩やかに傾斜した床、自然光がふんだんに射し込むガラス張りの壁面…美術館の旧来のイメージを打ち破り、森の中を散策しているかのような明るく開放感あふれる空間を目指した軽井沢千住博美術館にも、外光が届かない部屋が2つだけあります。
そのうちの一つ、ザ・フォール・ルームは、1995年のヴェネツィア・ビエンナーレ絵画部門で千住博が東洋人初の名誉賞を受賞した大作「ザ・フォール」を飾るためだけに作られた特別な空間。ここに展示されている縦3.4×横13.6mの大作は、漆黒の背景に流れ落ちる滝を描き止めたものです。2017年の「千住博・秋冬展」では、最新の映像技術を駆使して、この滝が実際に動き出す様子が披露されました。
生命を吹き込まれたかのように流れ始めた滝は、やがて桜や雪景色などにモチーフを変え、また元の静止した滝へと戻っていきます。時を操ることで、日常と非日常を表現した千住博のプロジェクションアート「四季」。ここではその冒頭部分を少しだけご紹介いたします。